第83章 あなた自身の選択

南坂海乃は、手にしていた絵へ淡々と視線を滑らせた。けれど――ふと、部屋の隅にもう一枚、別の絵が置かれているのが目に入る。

彼女はすぐさま歩み寄り、それを取り上げると、興味深げに眺めた。

黒谷楓花の、さっきまで笑っていた小さな顔が、瞬間くしゃりと歪む。

手元の絵など放り出して、彼女は勢いよく飛び出した。

「ママ、見ちゃだめ!」

けれど、遅かった。

南坂海乃はすでにそれを見終えていた。絵には、佐藤詩乃が楓花の手を引いている姿が描かれている。完成度が高い。明らかに、大人と子どもが一緒に仕上げたものだった。

サインには、佐藤詩乃と黒谷楓花の名。

その横に、短い言葉が添えられている。

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